【d!】心まで、透明化してよ (ページ12)

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12話※ ページ12

※注意

食堂

「ｯ…」

相変わらず不味くなった朝ごはん

体内から錨が引きずり出される感覚

…これ、好きだったんだけどな

ちる「…ほんっとA先輩って好き嫌い多いですよねーー？」
ちる「そんなんだから、嫌われるんですよ！」

zm「よう言った！せやせや！」
sha「ほんまそれ。ひとらん可哀想」

gr「…」
os「…」

「…」

ht「…」

びしゃ

「……」

自分の頬に垂れる暖かい水を見て
初めて水をかけられたことに気がついた。
料理人は、目の前の生ゴミに水をかけて

食堂から無理やり追い出す

死ねば。と言葉を付け足して

──

「…」

「喉が、ちぎれそうに、なる薬を」
「どう、食べたらいいの、？」

「…」

無能になった、のは私だ
私がなったのが悪いけど

ここまで、受けなくちゃ、いけないのか

「ｯ…泣いちゃダメ。…無能は馬鹿だから泣かない」

ここからどう帰ったのかは知らない

覚えているのは
途端に賑やかになった食堂と

無能への罵倒だけだった

「…」

─

ht「ほんっとあんな奴に飯作りたくないわ」

os「めぅ〜」

ht「前は、まだ好き嫌いしなかったよな？」
ht「嫌がらせだろどーせ」

無能の《食べ残し》はいつも酷い
いちばん美味しい所を食べやしない
葉っぱばっか食ってて、嫌がらせだ

os「…」

ht「俺優しいから、あいつらと同じ飯なんだよ」
ht「ほら、ふつーに………あれ」

腹が立って無能の口がついてないあたりの
ソースを指先ですくい口に含んだ

瞬間、ピリっとした。というか

美味しくないナニカが舌を覆い隠す

ht「……、？」
os「どしたん」

ht「…なんか、不味い」
os「ん、…ほんまや」

ht「…ど、どうせ。あいつが塩コショウ掛けすぎたんだ。知らん」

ht「さっさと洗い終わるよ」

俺は、口が裂けても言わなかった
オスマンに聞かれたくなかった

何か、食べ物じやないものが混入されてる。

とはいえなかった
無能を責める正当性が無くなってしまうから

いえなかった

──
トントンの部屋

tn「…」

Aは今日も食べ残した
恐らく今夜は飯抜き

もういっそ、し…

…

tn「…はぁ」

なんでや、A

《なんで無能になってしまったんや》