【d!】心まで、透明化してよ (ページ29)

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29話・syp ページ29

数日後

夜、Aの部屋にて

「…」
ht「…」

あれから数日。Aは、こっちで
飯を食べるようになった。俺が飯を運び
食べ終わるのを待つ。アイツらには散々
言われたが

「…美味しいです…」
ht「…そ」

毎日同じ味のおにぎりと味噌汁で
泣きながら食べられるものだから、
今更背を向けるなんて無理だ

彼女は、自分が食堂に行く。と毎回
言うがまた劇薬入れられ吐かれたら
たまったもんじゃない

これでいい、仕方ないんだ

ht「ふふ…」
「…？」

彼は、口元を抑えてうすく笑っていた。

ひとらん様が、おにぎりを持ってきてくれる
でも申し訳ないし、それは私の目的と
異なっている。いつか、いつか
断らなくちゃと思っているのに体は
正直で今日も彼を待ちわびてしまった

ht「…A」
「無能です」
ht「…あのさ」
ht「…なんで《あんなこと》言ったの？」
「…」

ht「…」

口端の米粒を救取り頬張る彼女の表情に
暗雲が立ち込める。そして、おにぎりを
皿にかえしたあと沈黙が続いた

ht「…今はロボロも見てないし、俺も口は固いよ」
ht「…」

「…言いたくは無いです」
「だめだから。」

ht「…」

やはり《あの出来事》が関係してあるのか

無意識に数年間の仕草が染み込んだ体が
彼女の頭に触れていた。わしゃわしゃと
音を立てて撫でる

半年しないだけで、体は忘れなかった

ht「あ、ごめん、…」
「…」

「ひとらん様」
「私は、無能ですよ。そんなことバレたら」
「貴方も無能になっちゃう。」

ht「…」

───
翌朝

gr「2人で頼むぞ」

syp「……うす」
「はい」

syp「…」

コネシマさんや、大先生からの
嘲笑う声が食堂を多い尽くす。
ほかのメンバーも、哀れな俺を
今夜の酒のあてにするきだ

…なんで、この人となんや

任務なんて、行ったもんちゃうな

？「……」

───

車内

syp「言っとくけど、車の中で吐いたり血ぃ出したら殺しますから」
「そうですか」
syp「…」

この人は、俺のセリフに物怖じせず
淡々と書類の生成をしていた。傷だらけの
指先で、鋭利な髪をめくる。パラパラと。

…この人、ほんまに感情とか必要なもん
どっかにやったんちゃうか？

ハンドルを強引にきって曲がり角をスピン
音を立てて彼女の頭が壁に当たったが、
それでも呻き声ひとつ挙げず無視された

syp「…」

何考えてんだ、俺。
なにしてんねん、ほんま