あの爆弾魔に終止符を。【d！】 (ページ11)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:8,934 hit

瓦礫11 ページ11

_

資料室から離れ、隣で肩を組んでダラダラと歩くシャオロン。成人男性の体重が半分ほど預けられているせいか、よたよたと歩きづらい。そして何より距離が近い、離れてほしい

ファイルにしまう為の書類はどうやら纏めて持ってくれているのだけが救いだ。まぁ、その書類たちも大して量があるわけではないのだが

『お兄さんシャキッと歩いてもらっても良いですかね』
sha「お姉さんも変な所でコケへんでな」
『シャオちゃんよく距離近いって言われない？』
sha「別に、普通やない？」

こてんと小首を傾げながらこちらを一瞥するシャオロン。この距離が普通なのは多分欧米あたりだと思う。社長室が近づいてくると流石に離れてくれたが、かすかに肩に残った温もりがむず痒い。

ドアノブに手をかける前に軽くノックをして名乗る。少しの沈黙の後、入室の許可が降りた

gr「何だ珍しい組み合わせやな」
sha「グルッペンの持ってるファイル目当て組だぜ」

室内に入ると案外簡素なもので、革張りのソファとローテーブル。そして所狭しと書類等で埋まった大きな棚が一つ。社長室というほどだから、骨董品の一つや二つ置かれていると思っていたがそうでも無いらしい。

目当てのファイルをシャオロンが受け取ると、社長もまだそのファイルに用があるらしくこの場で作業して行くことに。革張りのソファに腰掛けると、対面側にシャオロンが座る。先程持っていてくれていた書類を受け取ると、作業に取り掛かった

黙々とファイリングしていると、チクチクと肌を刺すような視線を感じる。目の前のシャオちゃんは書類とにらめっこしたり、何かを付箋に書き記しては別のファイルに挟んだりと忙しそうだ。
となるとこの視線の主は必然的に社長から送られている事になる訳で…

gr「…」

一瞬だけ横目で確認してみたが、思いの外ガッツリとこちらを見ていた。そんなにこのファイルを早く返してほしいのかと作業を早める。隣から感じる熱烈な視線に冷や汗が流れていることに早く気づいてほしい

冷や汗を背中に感じながら手元に集中する。しかし先程より強く感じる視線に、思わず口を開いてしまった

『社長…何かご用ですか』

gr「いや、いつ気付くのかと思ってな」

…何を言っているんだこの人は。ニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべながら私の顔を見ている社長。何を指して言っているのか分からず、首を傾げる。そんな私の様子を見てか、こいこいと手招きされる。一体何の事を指しているのか一向に理解できない私は、終盤に差し掛かった作業を終わらせて彼の近くに寄った