瓦礫12 ページ12
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社長に促されるがまま近くに立つと、トントンと手元の書類を指で叩く。それは私が先程まで見ていた物と同じ書類で、何やら太字で記された部分を指している。
私は渡された書類をまとめていただけだったから内容まで深く目を通していなかったが、見ろということだろうか？
“対象者は自身の身の安全が第一だが、ある程度の自己防衛は行ってもらうこと《必要に応じて体術訓練を行なう》”
gr「というわけだ、もう少ししたらトン氏が戻って来るから頑張れ」
『待ってください私そんなの聞いてないですが』
gr「書類は細部まで目を通さなかったのはお前の注意不足だが？」
そう言ってクツクツと喉を鳴らしながら笑みを浮かべるこの男、本当に気に食わない。それ以上に相手の言っていることがごもっともすぎて過去の自分への苛立ちが溜まっていく。
表情に出てしまっていたのか、グルッペンは私の顔を一瞥してゲラゲラと笑っている。本当に失礼だなこの人。
gr「お前、顔に出すぎやろ。拗ねんなって」
『拗ねてません、イラついてるだけです』
sha「似たようなもんやろ、怒んなってAチャン」
『シャオちゃんも一緒に訓練に参加させる事って可能ですか社長』
ソファにぐったりと背を預けて大きな欠伸をするシャオロンを一瞥すると、「まぁ、いんじゃね？」と了承してくれる社長さん。死なば諸共、道連れは多い方がいいからね。
にっこりとシャオロンの方を向くと、めんどくさそうに眉根を寄せてこちらを見ている
sha「お前一人で行けやぁ！俺別に訓練いらんもん」
『シャオちゃんのかっこいいところみたいなー私』
sha「ソレに釣られるん大先生くらいやからな」
本人の知らないところで株を下げるんじゃない。
どうやらトントンさんは昼休憩後にここに来てくれるそうだ。特別お腹が空いているわけではないが、この後運動するのであれば何かしら口に入れておいた方がいいだろう。
まさか自衛手段を教えられるとは思っていなかったから、午後のことを考えると気が落ちるのがわかる。自衛手段ってなんだよ、防犯ブザー持ち歩けばいいじゃないか。
gr「下っ端の暴走もあり得る世界だからな。Aは今命の危険と隣り合わせみたいな状況やし、自衛の一つや二つできとらんと簡単に死ぬゾ」
『…総統閣下の仰せのままに』
gr「お前ソレやめろ、ムカつく」
sha「え、何？まさかお前ら前世の喧嘩まだ引きずっとんの！？」
苦虫を噛み潰したような顔をするグルッペンを見て、少し胸がスッとしたのは気のせいでは無さそうだ
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作者名：どどまる | 作成日時：2023年7月8日 2時
