瓦礫１６ ページ16
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『なんすかじゃなくて…なんで手握ってるんですか』
ｔｎ「いや、なんとなく？」
『えぇ…？』
私より困惑したような表情を見せられても困る。ロボロは後ろで壊してまう、とかいいながらなんか飲んでるし。いや、あれプロテインだ。まさか職場でプロテイン作ってるのロボロ。どれだけ自由にしてるんだよ…
仕切り直して簡単な流れだけ教えてもらったが、どうしても男性の彼らの力にかなうほど私も筋肉がないようだ。前世なら体格のいいおっちゃんを背負い投げできるほどの筋力を持っていたのにと少しだけ落ち込む。
まぁ、この現代でそこまで力技で解決すなければならないことがあったかと言われれば、まったくと言っていいほどなかった。むしろ今後もない方向で過ごしていきたいのが本音だ。
『私も筋肉つけた方がいいですかね』
ｒｂｒ「筋トレするなら俺が教えたるから、とりあえずストレッチ習慣付けや」
『まぁ、検討しときますね…』
ｒｂｒ「やれや！！」
ｔｎ「だれか近くに居ったら声上げ。助けてもらえるはずやから」
飲み物を片手に私の方を見て笑いかけるトントン。聖母のような温かい笑顔に、思わず保護者なのかと言葉がこぼれてしまう。聞かれてなさそうだし大丈夫か。
それにしても薄々気づいてはいたが、彼らの身体能力は一般的といえるのに、こういった護身術になると前世と負けず劣らずの能力を発揮するのは一体何なんだ。引継ぎ能力みたいなものだろうか、羨ましい。
勿論私だって努力もなしにそういった能力を得られるとは思っていないが、努力してまで欲しいかと言われればそういうわけでもない。我ながら難儀な性格をしているとは思う。
『トントンさんは警備員みたいなことしてるって聞きましたし、社内で襲われたらトントンさん呼びますね』
ｔｎ「襲われたらぶん殴ってええから。敵に情けはいらん」
ｒｂｒ「まぁ、話聞ける状態やったらええから。前歯くらいは持っててええと思うで」
『そんな振り切って殴れる自信ないんですけどね』
ｒｂｒ「あのAが…！？」
本当に失礼だなロボロとかいう人。前世の私だったら容赦なく正当防衛と言い張って殴り倒していたかもしれないが、今の私は筋肉もあまりない一般社会人だ。そんなすぐに手が出てしまうほど短気でもないんだぞ。
手渡された飲み物に口をつけながら横に座ったロボロを小突く。少しだけ乱れてしまった髪や服をなおして、トントンにお礼を伝える。業務内容とは言えここまで丁寧に教えてもらえたのはありがたい。直属の上司だったら慕ってたと思う。
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作者名：どどまる | 作成日時：2023年7月8日 2時
