あの爆弾魔に終止符を。【d！】 (ページ4)

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瓦礫4 ページ4

安心安全の運転で自宅まで送って貰うと、さも当然かのようにエントランスまで着いてくる兄さん。さては今日泊まっていくつもりだな？？

『うちにお泊まりセット置いていくのやめてくださーい』
ni「朝食送迎付き」
『ゆっくりしていってね』

チョロいな、と言う言葉は聞かなかったことにしてやろう。自室のある階数を押して、エレベーターに乗り込む。隣に立つ兄さんからは、ほんのり煙草の匂いが鼻をかすめる。

…そういえば最近吸ってなかったなぁ

色々と私生活が立て込んでいたせいで、まともに息つく暇もなかったことに気付く。特別煙草が好きという訳でもないし、吸わないとやってられないという程でも無い。
でも、煙草を吸った時に感じられる深呼吸している感覚は、他では得難いものかある気がする。なんて事を考えていたら、無性に吸いたくなってきた

ぼーっと考え事をしながら家の鍵を開けて、中に入る。背後から「お邪魔します」と礼儀正しく挨拶する兄さんの声が聞こえる。何度も上がり込んで居るが、こういう細かなところの礼儀は1度も忘れたことはない気がする。偉い

ni「取り敢えずいつ波が来るかわからんから、横になっとき」
『はぁいママ、煙草1本ちょうだい』
ni「可愛げのない娘やな」
『そう言いつつ渡してくれるの好きよ』

投げられた箱とライターをキャッチして、ベランダに向かう。室外機の上に置かれた灰皿は吸殻がひとつもなく、新品のように綺麗だ

煙草を取り出してフィルターを軽く噛む。風が邪魔しないように手で壁を作りながら、先っぽに火をつける。軽く息を吸うと、しっとりと肺に煙が入っていく感覚。ベランダの柵に体を預けながら紫煙を吐き出すと、まだ青い空にぼんやりと溶けて消えていく

普段吸っていた銘柄と違うせいか、少し咳き込んでしまうがそれもまた良いものだ。日中ということもあり、人通りの少ない道を眺めながら一息

『……朝から濃すぎるんだよなぁ』

ぐったりと柵に項垂れながら呟いた言葉は、誰の耳に届くことも無く消えていった。仕事こそこなしてきたものの、こんな時間に帰宅してしまった事実に罪悪感が芽ばえる。

いや、上司のありがたいお言葉に従ったまでだ。私は悪くない、優しいエミさんありがとう。おかげで煙草が美味しいよ

短くなった吸殻を灰皿に押し付けて、ぐりぐりとすり潰す。兄さんと同じ匂いを身にまといながら部屋に戻ると、冷蔵庫を漁っていた兄さんと目が合う。何も無いなって言葉聞こえてるぞ、コラ