あの爆弾魔に終止符を。【d！】 (ページ9)

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瓦礫9 ページ9

甘ったるい視線に気づかないふりをして私はわざと大袈裟に、そしていつも通りに言葉を返す。変にここでどもってしまうのは意識していると言っているようなものだから。

それに私だって恋愛小説のヒロインみたく鈍感ではない。それなりに恋愛経験だってしてきたし、上手な躱し方だって身につけてきた。

『眼中もなにも…知り合いがその辺で倒れてたら怖いでしょ』
sha「ちぇ、そこは悲しい言うところやろ。ほんまに薄情な奴め」
tn「なんや、俺の勘違いか…それにしてもAとシャオロンがここに居るなんてなんか意外やね」

そう、ここはこの事務所の中でも人の出入りが少ない資料室。完成した書類をファイリングする為に来たであろうトントンさんは、慣れた手付きで棚からファイルを取り出す。私達二人といえば、お互い探しているファイルが見当たらず右往左往していたところだ。

トントンさんにそのことを伝えると、丁度そのファイルを社長室で見かけたと教えてくれた。

tn「多分情報整理しとるんやろうけど、あんまり忙しく無さそうやったしすぐ返してもらえるんちゃう？」
sha「グルッペンか、ならAと一緒に行くわ。これまとめたら仕事一区切りつくやろ？飯行こ」
『お腹空いてないから行かないよ』

せっかく誘ってくれたのは有り難いが、ここ最近食欲があまりない。元からあまり食べる方ではなかったし、軽く摘むくらいのものを好んで食べていたから胃袋が小さくなっているのかもしれない。

まぁ…特に困るような事はないのだが。

残念とでも言いたげなシャオロンを横目に、トントンさんの近くを横切る。突然、左足に激しい激痛が走り重心が傾く。

足が痺れていたのかフラリと体が前に倒れていく。咄嗟のことに声もあげずにいると、腰回りに太い腕が巻き付いた

『ぐえっ』

あまりに可愛げの無い悲鳴に羞恥心が湧いて出てくるが、それ以上に足のしびれが止まらない。ピリピリと断続的な痛みが続いて、ほんの少しの動きで激しくなるそれに思わず腕の主に縋るように腕を掴む。

sha「なにしとん！？」

後ろからシャオロンの慌てたような、呆れたような声が聞こえる。この腕の主はトントンさんだろう。

すぐ隣にいたから支えてくれているのだろうが、その瞬発力には驚かされる。ピリピリと痛む足の痛みを堪えるように動きを止めていると、心配そうな声をかけられる。

tn「A…？どうしたん」
『足痺れてるから…もう少しこのまま支えてもらっていいですか……』

プルプルと震える私の体は、この支えがなかったら情けなく倒れて蹲るだろう。そんな情けない姿は見せたくない